「公彦君、死んだんだって?」
「あぁ。」
「そうか…。」

オレが伊園摩知の所為で公彦君と℃が死んだことを知ったのは、公二人が死んだ、一週間後だった。
死体処理の依頼で白さんに懇願され遠出していたオレは、
やっと終わった仕事の報告の為、伸二のところへ向かった。
そこに白さんもいると思ったからだ。
そこで聞かされた訃報が、公彦君と℃の死だった、というわけ。

「結局、世界は終わらないのかもな。天罰なのかもしれない。」
「…公彦君への?なんでだ?」
伸二が座ったソファの向の壁にもたれて、コーヒーをすする。
このコーヒーの熱さは、今のオレの煮え繰り返った腸の熱さだと思った。
「神の創造物を…世界を終わらせようとした、罰だよ。神が怒ったのかもしれないな。」
伸二の"神が怒った"という言葉に、胃液が沸騰した気がした。
「…神は、世界を終わらそうとする者を罰す、か…。その通りだな。」
「お前、大丈夫か?公彦のこと、大好きだったろ。」
奴の死体を処理するのは、いつかのお前の役目だと思ってたよ。などと伸二がぼやく。
「そうだな、ルーシーの死体なんか片付けさせても、オレへの罰になんかならねぇと思ったんじゃないの。」

伸二が怪訝そうな顔をする。
あぁ、お前はまだ気づいてないだろう。

「神からの罪を受けたのはオレだ。
公彦の死はオレへの制裁。℃の死は、公彦の大事な妹を奪った…というオレへの罪意識の煽りだろう。」
伸二が厳しい顔をする。
「…別に、お前が公彦の死を負うことはない。」
「バカだなぁ、もともと罰を与えられるのはオレしかいないんだよ。何故なら」



世界の終わりを望んだのは オレ 本人だから。



でもきっとこれは、神の創造物を壊そうとしたオレではなく、公彦を利用したオレへの罰。


そう、神も世界の終わりを望んでいたのだから。


 
(誰もが一度は望むであろうその果ては きっと来ない)