僕ですか?わがままですよ、僕は。
「、もうオレん家くんのやめねぇ?」
「え?いやだよーだって僕シカマルの家好きだもん。」
人の家の人の部屋の人のベッドに横たわる。
まるで自分のものの如く振舞う。持ち主を目の前にしても。
「とりあえず、また明日から任務だしよ。一般人は帰れ帰れ。」
手でシッシッと払う振りをされる。
いつの間にそんな冷たくなったんですか?シカマル君。
「ばっか、まだ昼前だぞ!」
「てめーは何昼前から人ん家でぬくぬくしてんだよ。」
自分の家があるだろうが、とため息をつかれる。
まぁね、一般人だけど良家の息子だから。立派な御家ぐらいありますよ。
「良いかよ?オレは忍!お前は一般人!」
「まぁ僕は忍なんて危ない職には就きたくないからねー」
一瞬、シカマルが眉間の皺を深くして睨む。
「危ない仕事だとはわかってんだな?じゃあ納得行くだろ。もう来んな。」
「いやいやいや、意味が!意味がわかんないよー」
床を手で軽く叩くとシカマルが僕を吹き飛ばす勢いで床を叩く。
「ふざけてんじゃねーよ、おい。オレらはいつ死ぬかわかんねーんだぞ。」
「は?そ、そうだね…それが?」
あからさまにイライラとした様子のシカマルに動揺を隠せない僕。
「だーかーら!ちっめんどくせーな!!お前はオレを好きみてーだけどよ、オレはお前を不幸にするぜ?
あんま会えねーし、いつ死ぬかわかんねーし、ここにお前が通うだけで何かあるかも…」
だんだん小さくなるシカマルの声。
自信がないの?言いたくないの?それなら、言わなきゃいいのにさ。
「…そんなこと、わかってるよ?今までだって、別にしょっちゅう会ってたわけでもないし
シカマルに悪戯とか仕掛けようとする奴等にも狙われたじゃんか。」
「……。」
「まぁ、会ってないって言ったって任務のときだけで休みは全部会ってるし?
しかも誰かに狙われても、必ずシカマルが助けてくれるじゃん。」
何が問題?と首を傾げてきくがため息をつかれる。
「長期任務とかだと、数ヶ月会えないだろ…長くて数年…。オレが助けられねーときもある。」
「…別に長い間待つことだってできるよ?そんな寂しいと死んじゃう生き物じゃないしさー。
助け?かかしさんにでも頼むよ!」
「…何かと、不便だろ、オレと関わってると。死んだとき、どうせ泣くだろ?…マジ、このままだとお前不幸になるぜ。」
シカマルが俯き囁く。
もう覇気もない。何がそんなに問題なのか?
「何言ってんの、こんだけ仲良くなっちゃったんだから、死んだとき泣けない方が不幸なんですけど?
っていうか、何?シカマルは僕が嫌いなわけ?」
ふくれっつらをしてシカマルを睨む。ああ、顔をあげてよ。
「…んなわけねーだろ。嫌いだったらお前が不幸になろーがどうなろーが気にしないっつーの。」
「えー僕が好きだから僕の幸せを考えるの?マジで??」
「お前、恥ずかしいね。」
「え、好きなんでしょ?僕のことが。えー僕の幸せを考えるなら、今まで通りでいようよ。」
シカマルの身体がビクッと反応して、静かに顔をあげる。
眉間には皺。でも、目は怒っていなくて、むしろ悲しそうだった。
「…は?」
シカマルが今の関係は不幸を招くというのなら、
「僕は、シカマルに不幸にされることが、幸せだよ。」
さよならをいう君の手を引いた僕
(僕が幸せならそれで良いんでしょ?)